―設立のご挨拶―

「SSFJ 設立に向けて」


enkawa

   この度、日本の強みを活かした戦略的グローバル SCM の開発・普及啓蒙・交流の場として、SSFJ (Strategic SCM Forum Japan)が設立されました。その背景及び経緯、そして活動についてこの場で述べさせていただきます。
今世界では、ドイツの Industry 4.0 や米国のインダストリアル・インターネット等、第4の産業革命といった用語が出現、取組がはじまっています。それはサプライチェーンの見える化を越えて、バリューチェーン・ネットワーク全体をつなぎ、見える化してその情報から仮想現実空間で変化への即座の対応、最適化やビジネスの新しい価値創造を目指すものです。正に企業群、国単位でのメガ SCM の構築とも言えるものです。
このような状況の中でバブル崩壊以前の工業化社会での勝利者であった日本企業は、グローバルSCMという立場では大きく世界のグローバル企業に遅れをとり、なかなか成長軌道が見いだせない状況が続いているのではないか、と考えます。一方、今でも世界の現場レベルでの合言葉は、JIT や TQC といった日本発祥の現場力の強みを目指した“リーン&6シグマ”です。その意味では日本企業の現場力や改善の強みは依然としてあり、世界の尊敬を集めていると言えます。しかしながら、グローバル化が進行した 21 世紀になると、現場力を生かすサプライチェーン全体の見える化とそれに基づくマネジメント力、すなわち SCM 力こそ世界の競争のリーディング・エッジとなっています。
現場での見える化や改善には圧倒的に強いのに、サプライチェーン全体のパフォーマンスを決めるサプライチェーンの見える化、それに基づく最適化やリスクマネジメントに日本企業はなぜ弱い(無頓着な)のか? なぜ、今や世界を引っ張るグローバル企業では常識となっているSCMを経営の柱とするような方向に向かわないか?なぜ日本での SCM 部門は単なるスタッフ部門であったり、物流の延長としかとらえられないのか?このような疑問を、私達 SSFJ のコアメンバーは今から7年前に熱く議論いたしました。
このような問いに、手はじめに出来ることは何か、その解として僅かでも出来ることとしてはじめたのが、2010 年に発足させた東京工業大学ストラテジック SCM スクール(コース)です。SCM 改革を担う“志士”育成を目指した社会人を対象とした大学院レベルの約4ヶ月の講座です。幸いにも募集と同時に定員を超えるという盛況が続き、当初年1回の予定がすぐに年2回開講になり、内容をブラッシュアップさせつつ今、6年目で 11 回目を終えようとしています。このコースの内容は、日本の強みを生かした戦略的 SCM であり、同時にグループ討論のテーマは“SCMを経営の柱にするには”という議論を重ねてきました。
そしてこのコースをサポートし修了生のアフターケアを意図したものが、ストラテジック SCM の講師陣と同コースの修了生からなる SSFJ (Strategic SCM Forum Japan)でした。修了後のコミュニケーションの場の提供や同窓会、有志による研究会・ツール開発等の活動を、大学とは直接的に関係のない非公式なかたちで行ってまいりました。そして 2015 年 3 月には、その成果を問うものとして講師陣を中心とした『戦略的 SCM~新しい日本型サプライチェーンマネジメントに向けて』を日科技連出版から上梓いたしました。
これを契機に、非公式の活動から SSFJ の理事会を立ち上げ、コースの同窓会組織や研究会を傘下に入れた公式の組織、SSFJ を 2015 年 6 月 16 日第1回の理事会を開催し設立いたしました。会員のボランティアな活動に支えられたものですが、これにより従来散発的に実施してきた研究会や講演会を、より系統的なものにすることができます。
さらにこれまで東京工業大学で開発・運用してきた SCM 改革の簡易ベンチマーキングツールである LSC(SCM ロジスティクススコアカード)の進化版である GSC(グローバル SCM スコアカード)、さらに企業経営と SCM の KPI を事業の状況に応じた定量化を可能にする ROA-AHP といったツールを、研究会を通じて開発して参りました。これらのツールの利活用・進化を加速させるインフラが出来たとも考えています。
その他、「日本型グローバル SCM」に向けての様々な講演会、研究会の開催を通して、メンバーの研鑽の場とするとともに、人材育成・普及啓蒙活動を加速させて行く所存です。冒頭に述べたように、IoT 時代に向けて、今こそ見える化インフラの遅れをキャッチアップし、その上で日本の強みである Kaizen 力や顧客との共創発想に基づく価値創生を加えることで、再び日本の成長軌道を支える一助になるようなことを目指して、船出とさせていただきます。関係の皆様方のますますのご支援、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

2015年6月吉日
初代 SSFJ代表 圓川隆夫

 

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